最高裁判例
昭和43年11月13日最高裁大法廷判決(民集22巻12号2526頁)
【事案の概要】
任意に支払われた利息制限法超過利息の返還(過払い金返還請求権・不当利得返還請求権)が認められるかが争われた事案。
【判決内容】
「思うに、利息制限法1条、4条の各2項は、債務者が同法所定の利率をこえて利息・損害金を任意に支払ったときは、その超過部分の返還を請求することができない旨規定するが、この規定は、金銭を目的とする消費貸借について元本債権の存在することを当然の前提とするものである。けだし、元本債権の存在しないところに利息・損害金の発生の余地がなく、したがって、利息・損害金の超過支払ということもあり得ないからである。この故に、消費貸借上の元本債権が既に弁済によって消滅した場合には、もはや利息・損害金の超過支払ということはあり得ない。
したがって、債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に利息・損害金の支払を継続し、その制限超過分を元本に充当すると、計算上元本が完済となったとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
【判決の意義】
- 過払い金返還請求権(不当利得返還請求権)を認めた。
「計算上元本が完済となったとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示し、元本完済後に支払われた金額(過払い金)は返還請求出来ることを認めた。
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