最高裁判例
平成19年6月7日最高裁第一小法廷判決
【事案の概要】
基本契約が同一の取引において、過払い金発生時に他の債務が存在しない場合、新たな貸付への過払い金充当の可否が争われた事案
【判決内容】
弁済によって過払い金が発生しても、その当時他の借入金債務が存在しなかった場合には、上記過払い金は、その後に発生した新たな借入金債務に当然に充当されるものということはできない。(略)そうすると、本件各基本契約は、同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果、過払い金が発生した場合には、上記過払い金を、弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより、弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。
【判決の意義】
基本契約が同一の取引においては、基本契約に基づく債務の弁済が、基本契約に基づく借入金の全体に対して行われ、充当の対象が、全体としての借入金債務であると解される場合、過払い金発生時に他の借入金債務が存在しない場合でも、過払い金はその後に発生する新たな借入金債務に充当されることを明らかにした。
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