最高裁判例
平成20年1月18日最高裁第二小法廷判決(判例)
【事案の概要】
消費者金融との取引において、いわゆるリボルビング方式の取引により金銭消費貸借取引が継続していた場合に一度完済後、約3年後に再度契約書を取り交わして再取引を開始した場合のそれまでの過払い金の再借入金への充当の可否が争われた事案。
以下、最初の取引を「基本契約1」、再契約後の取引を「基本契約2」とします。
【判決内容】
基本契約1と基本契約2に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り、基本契約1に基づく取引により生じた過払い金は、基本契約2に基づく取引に係る債務には充当されない。と判断し、前記特段の事情の有無につき審理を尽くさせるため原審へ差し戻しました。
本判決においては、原審の認定した事情だけでは、「特段の事情」があるとは言えないと判断されました。
【本判決の特段の事情について】
本判決のいわゆる「特段の事情」について、具体的な判断基準として以下7点が示されました。
事実上1個の連続した貸付取引であると評価できるか否かの具体的な判断基準
- 第一の基本契約に基づく貸付及び弁済が反復継続して行われた期間の長さ
- 最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間
- 第1の基本契約についての契約書の返還の有無
- 借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無
- 第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と 借主との接触の状況
- 第2の基本契約が締結されるに至る経緯
- 第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同
上記事情を考慮して、第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、「過払い金を新たな借入金債務に充当する旨の合意」が存在するものと解するのが相当であると判示しました。
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