最高裁判例
昭和43年10月29日最高裁第三小法廷判決(民集22巻10号2257頁)
【事案の概要】
債権者と債務者間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約が存在する場合の充当について
【判決内容】
「金銭を目的とする消費貸借上の債務者が、利息制限法所定の制限をこえる利息、損害金を任意に支払ったときは、右制限をこえる部分は強行法規である同法1条、4条の各1項によって無効とされ、その部分の債務は存在しないのであるから、その部分に対する弁済の効力を生じないものである。したがって、本件のように数口の貸金債権が存在し、その弁済の充当の順序について当事者間に特約が存在する場合においては、右債務の存在しない制限超過部分に対する充当の合意は無意味で、その部分の合意は存在しないことになるから、右超過部分に対する弁済は、充当の特約の趣旨に従って次順位に充当されるべき債務であって有効に存在するものに充当されることになるものと解すべきである。右のような場合における充当の関係は、法律問題に属するから、これについて所論のように当事者から特別の申立ないし抗弁が提出されることを要するものではないと解するのが相当である。」
【判決の意義】
- 数口の貸金債権間の充当を認めた。
「右超過部分に対する弁済は、充当の特約の趣旨に従って次順位に充当されるべき債務であって有効に存在するものに充当されることになる」と判示した。 - 利息制限法による充当は法律問題に属することを明確に判示した。
「右のような場合における充当の関係は、法律問題に属するから、これについて所論のように当事者から特別の申立ないし抗弁が提出されることを要するものではないと解するのが相当である。」と判示した。
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