銀行カードローンを問題視する発言相次ぐ 改正貸金業法の適用外で、多重債務会合
三谷 耕三
東京世田谷の司法書士です。
債務整理、過払金請求、相続等を中心に活動しています。
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2017年6月26日
【カードローン】過剰融資の歯止め策急げ
高知新聞 社説 2017.06.26 08:00
銀行が無担保で個人にお金を貸し出すカードローン融資が急速に伸びている。それに伴い、借金がかさんで返済できなくなるケースが増えており、過剰融資への懸念が広がっている。
あらかじめ決められた貸付限度額はあるものの、カードを使って現金自動預払機(ATM)でお金を借りることができる。手軽に利用できるのがカードローンの特徴だ。
消費者金融など貸金業は、法によって個人に対しては年収の3分の1までしか貸せない「総量規制」が設けられている。引き下げられたとはいえ、上限金利は年20%に設定されている。
これに対して、銀行法が適用されるカードローンには貸金業のような「総量規制」がない。金利は借りる額で上限が異なるというが、年十数%が主流とされる。
銀行が相手ということもあり、借りる側の抵抗感が薄くなる面があるのかもしれない。銀行にとっては住宅ローンや企業向けの融資に比べ金利が高く、利益に結び付く。貴重な高収益分野とみてだろう。大手、地方とも力を注いでいる。
日銀によると、2017年3月末時点で銀行カードローンの融資残高は約5兆6千億円に上った。資金需要が総じて伸び悩む中、1割近い伸び率を示している。だが多重債務者の増加を引き起こしているとみられる。見過ごせない問題だ。
改正貸金業法で貸金業者への規制を強化した後、自己破産の申し立ては年々減る傾向にあった。ところが最高裁の統計で、2016年の申し立ては約800件増の約6万4千件と、13年ぶりの増加に転じた。カードローンの影響と考えるしかない。返済に苦しむ人々の氷山の一角とみていいだろう。
背景には、日銀のマイナス金利政策によって、利ざやが稼ぎにくくなったことがあるはずだ。
借りる側が返済可能な範囲に収めるのが原則ではある。だが、規制がなく、収益分野が限られているからと、カードローンに依存するばかりではモラルが問われよう。
信用を基本に事業を行う銀行は、社会的な責任が重い。企業活動、個人や家庭への支援を通じて地域社会に貢献するのが在るべき姿だろう。利潤を追求するにしても、節度とふさわしい方策がありはしないか。
手軽さやスピード融資をうたう広告も多く、全国銀行協会は行き過ぎた広告は自主規制することなどを申し合わせた。さらなる対応を求める声を受けて、融資の抑制に向け、利用者の信用状況を調べる審査について厳格化する動きも広がっているという。